賃貸マンションについては、オーナーさんから見た考えと入居者さんから見た考えは異なります。オーナーさんは満室経営を目指していくのが当然です。満室になってこそ、安心感や信用が生まれ金融機関からの融資も可能です。
満室経営を目指すには「賃貸偏差値®」を意識することが必要です。その一方で賃貸偏差値®を高めるためには、入居者さんの視点になり、家賃に対してのお部屋の満足感を満たさなければなりません。
どれくらいの家賃を出せば住みよいお部屋かどうか、入居者さんが希望するものも人それぞれなので色々な要素が絡んできます。そのため、この入居者さんから求められるものに対して客観的な評価が必要となりますので、賃貸偏差値®の物差しの考えが必要になります。
賃貸マンションを探している方の気持ちになって想像してみましょう。例えば、2軒のマンションがどちらも駅から歩いて5分、お部屋の設備が同じだとしたらどうでしょう。少しでも家賃の安かったり、学校までの距離が近い方だったり、他の条件によって優越が変わります。
最近はカーシェアも増え、車を持たない若者も増えています。駐車場がなくても問題ないマンションもたくさんあります。また、花粉症やPM2.5の影響からベランダすらも不要という方も多いです。
賃貸偏差値®を考えてマンション経営を行う場合、そうした条件や環境を踏まえた上で、同じ条件であればどうすればお得感のあるものになるのかを考えることがポイントです。同じ家賃の部屋で同じ立地条件のマンションであっても、うちのマンションはデザインが良くて偏差値が55なのか、設備が優れていて54なのか、家賃と見合っているのかどうか相場とも比較しながら入居者は考えています。
一昔前までは、家賃を下げれば満室になるだろうと言われてきました。今は賃貸偏差値®を意識しなければ、他のオーナーに負けてしまう時代になっています。家賃を下げると、入居者さんの質が落ちていきます。今まで入居していた方々も、マナーが悪かったりトラブルを起こす入居者が入ってくると嫌がります。安直に家賃を下げれば良いという考えでは、悪循環を引き起こしてしまいます。
そこで、費用対効果をしっかりと考えた上で対策を取ることが必要です。たくさんお金をかければ良いという訳ではありません。ポイントを押さえて効果的なことを実行しなければなりません。内覧にきた入居希望者が、マンションの外観を見てエントランスはどうなのか、共用廊下はどうなっているのか、ドアを開けた瞬間にどういう印象を持つか。簡単に説明すれば、そうしたところを意識して対策を行うのです。女性のほとんどは水廻りが気になりますし、単身者であれば家賃に対して良い雰囲気か、悪い雰囲気か、全体の雰囲気を重視します。
家賃は個々の生活レベルによって感じ方が異なります。年収が低い方であれば、「ここでも良いかな」と妥協するレベルが低い方も多いです。逆に同じ部屋であっても、年収の高い方であれば、他の部屋を望むことが多いです。高い家賃を出せる人は、高い家賃の物件の方が安心できる考え方をします。質が悪いから家賃が安いのではないかと思うのです。賃貸マンションのオーナーは、そこの意識についてしっかりと感じてマンション経営を行う必要があります。
また、お部屋の作りに工夫するのも大切です。例えば、古いマンションでは20㎡未満の部屋もたくさんあります。そうしたマンションをどう工夫して魅力的な部屋にしたかというと、容積率を上げることを提案します。部屋にはベッド等が置かれるわけですが、壁の上の空中に収納をたくさん設けます。すると仲介業者さんも「収納多し」というワンフレーズを付けて入居者を探してくれます。
こうした入居者のニーズに応えられる工夫をすることで、賃貸偏差値®を上げて入居者に選ばれるマンション経営を行うことができるのです。